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2023/1/12

【読書感想】ブコウスキー『郵便局』

  郵便局 C・ブコウスキー / 都甲幸治 訳 出版社:光文社(光文社古典新訳文庫) 発売日:2022/12/13 ゆるく長く生きていこうぜ  90年代、日本でもカルト的人気を博したアメリカ人作家・ブコウスキーの実質的デビュー長編。これまでもさまざまな翻訳者・出版社から刊行されてきた本作の新訳版。しかしもはやこの作品も"古典"と称されるシリーズに部類されるようになったのかと、ふと感慨深いものを覚える。  この作品の主人公もブコウスキー作品頻出のチコスキ―その人である。作者をモデルにしたような、それでいて作 ...

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2020/12/6

【読書感想】たもさん『カルト宗教信じてました。』『カルト宗教やめました。』

  カルト宗教信じてました。 たもさん 出版社:彩図社 発売日:2017/04/27     カルト宗教やめました。~「エホバの証人2世」の私が信仰を捨てた後の物語~ 出版社:彩図社 発売日:2020/01/28    自分の人生の主役は誰なのか? 信じきることの虚しさと信じられることの大切さ    一応はじめに断っておくが、本稿および本稿で取り上げるものは特定の個人や団体、信仰を否定するものではない。  さて、本書に登場する某宗教については以前にも元信者という方が書いたものを紹介しているが、本書は似た経 ...

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2022/8/24

【読書感想】加賀乙彦『死刑囚の記録』

  死刑囚の記録 加賀乙彦 出版社:中央公論新社(中公新書) 発売日:1980/01/23 死刑囚、その監獄の中での心理  本書は1950年代、東京拘置所に収監されていた死刑囚・無期囚の心理的精神的変遷を追った記録だ。  著者は当時、精神科の医官として同拘置所に勤務していた。精神科医として、冷静かつ科学的に囚人たちの心の中を見つめている。    死刑制度如何のそれは司法の問題として割り切り、本書は医師と囚人という人と人との純粋な交流の過程が淡々と続く。  そこから見えてきたものは、凄惨な事件を起こした凶悪 ...

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2020/8/29

【読書感想】中野信子『人は、なぜ他人を許せないのか?』

  人は、なぜ他人を許せないのか? 中野信子 出版社:アスコム 発売日:2020/01/25   する側される側、すべての「正義中毒」者への処方箋    炎上、不謹慎狩り、不倫叩きにハラスメント……。  SNSなどの普及により、「他人を許せない」「自分こそ絶対に正しい」と豪語して止まない人びとが世間に溢れかえっるようになった。いや、もともと潜在的にいたものが、手軽なツールの登場によって表面化し、彼らとの遭遇率が高まってきたというべきだろうか? インターネットなどなかった時代なら市井のそこかしこで繰り広げら ...

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2022/11/28

【読書感想】『しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~』

  しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~ 富士屋カツヒト・画 左藤真通・原作 清水陽平・監修 出版社:白泉社(ヤングアニマルコミックス) 発売日:2022/08/29  しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~ 2 しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~ 3  誠実な仕事とはなにか?  インターネット上の誹謗中傷やデマ。SNS全盛の昨今、現実世界でも無視し難い問題になってきているのは周知のことだろう。  本作品は、ネット上でのトラブルに強い弁護士と依頼人とが織り成 ...

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2026/9/26

【読書感想】粥川すず『大正學生愛妻家』

  大正學生愛妻家 粥川すず 出版社:講談社(モーニングKC) 発売日:2024/11/21 結婚からはじまる恋愛模様  苦労人ながら健気で素直な女中と資産家の御曹司との大正ロマンラブストーリー。タイトル通り二人は夫婦である。夫婦だが、「ねえや」と「坊ちゃん」の関係性からなかなか抜け出せない。そんな二人の新婚生活を描いた本作は、大きな波風が立つわけでもなく、更に陰湿な脇役やヒールが登場するわけでもない淡々とした物語だが、どこか心暖まるステキな作品だ。  大きな波風が立つわけではないと書いたが、それでも生活 ...

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感想・レビュー インド哲学仏教学

2024/1/5

【読書感想】清水俊史『ブッダという男 初期仏典を読みとく』

ブッダという男 ――初期仏典を読みとく (ちくま新書) created by Rinker Kindle Amazon 楽天市場   ブッダという男 初期仏典を読みとく 清水俊文 出版社:筑摩書房(ちくま新書1763) 発売日:2023/12/07 人間・ブッダは何を語っていたのか  ネット上を一時騒然とさせた仏教学界隈のアカハラ問題。その渦中にあった著者による「あとがき」が脚光を浴び、本書は刊行直後からベストセラーとなっている。若干そればかりが注目され独り歩きしている感は否めないが、本書は内容 ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

インド二大叙事詩とヒンドゥー教の聖典について

【改訂記録】 ・2021/02/24 「あらすじ」欄に各巻・章のタイトル追記。   前説  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ(Mahābhāratam)』と『ラーマーヤナ(Rāmāyana)』、そしてヒンドゥー教における最高の聖典と称される『バガヴァット・ギーター(Śrīmadbhagavad gītā)』について、その概要をまとめてみました(個人的な復習の意味も含め)。  かなりザックリとしたまとめになっていますが、本記事はちょっと実験したい部分もあって、今後も随時改訂したりしていきたいと思います。 ...

インド哲学仏教学

2026/8/4

【ヒンドゥー教の聖典】『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!~前説~

      目次  まえがきと若干の解説  『バガヴァッドギーター』テキスト  参考文献        【本編】  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その1(Ⅰ・1~11)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その3(Ⅰ・20~30)   ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その4(Ⅰ・31~39)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その5(Ⅰ・40~47)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!そ ...

感想・レビュー インド哲学仏教学

2024/3/24

【読書感想】ヴィヤーサ著・石原美里訳『邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻』

  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 created by Rinker Amazon 楽天市場  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 ヴィヤーサ 著 / 石原美里 訳 出版社:パブファンセルフ 発売日:2024/01/29 愛する者を失った悲しみと屈辱  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』。そのうち『マハーバーラタ』(以下MBh)の第11巻「Strī-Parvan」の日本語訳注本。  MBhの日本語完訳は未だなされていない。故上村勝彦博士による翻訳は、急逝のため第8巻途中までにとどま ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギータ―』原典訳してみた!その1(Ⅰ・1~11)

 さて『バガヴァッドギータ―』原典訳してみた!の一回目は第1章1~11節までです。  今回扱うテキストについては前説編を参照のこと。 テキスト   ①dhṛtarāṣṭra uvāca /  dharmakṣetre kurukṣetre samavetā yuyutsavaḥ /  māmakāḥ pāṇḍavāścaiva kimakurvata saṃjaya // 1 // ②saṃjaya uvāca /  dṛṣṭvā tu pāṇḍavānīkam vyūḍhaṃ duryodhanasta ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その3(Ⅰ・20~30)

       3回目は第1章20~30節。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)       テキスト   ①atha vyavasthitāndṛṣṭvā dhārtarāṣṭrānkapidhvajaḥ /  pravṛtte śastrasaṃpāte dhanurudyamya pāṇḍavaḥ // 20 //  hṛṣīkeśaṃ tadā vākyamidamāha mahipate /  senayorubhayormadhye rath ...

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後鳥羽院project

2022/9/20

【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏

 本稿は、後鳥羽院生前の出来事のうち、院のその後の人生に影響を与えたであろう事柄を、公卿日記をはじめとした史料より抽出したものである。  注意事項として、記事内の各天皇および院の呼称は省略している。また本稿タイトルの「運命の四の宮」は、目崎徳衛『史伝後鳥羽院』の一節による。   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻)   ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻)   ・その6  ...

後鳥羽院project

2023/1/30

後鳥羽院『遠島御百首』私見その6~雑 三十首(下)~

(綱掛の松 隠岐・海士町 2018年08月甚之助撮影)     ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       雑三十首(下) 目次  八十六、日にそひて  八十七、何となく  八十八、人ごゝろ  八十九、みほのうらの  九十、たとふべき  九十一、はれやらぬ  九十二、うしとだに  九十三、ことづてむ  九十四、とにかくに  九十五、ふるさとの  九十六、おもふ人  九十七、われこそは ...

後鳥羽院project

2023/7/28

【ご冗談でしょ定家さん!?】『明月記』講読その1~治承四五年記①(治承四年二月~五月)~

       以前公開した『藤原定家「明月記」にみる後鳥羽院の姿』シリーズをやっていた頃から、いつかは『明月記』自体の講読もやりたいと考えていた。  ただ、当の『明月記』が難解極まりないことと、明月記研究会はじめ堀田善衛御大などさまざまな研究者や愛読者がすでに多くの著作や論文を出している。またネット記事なんかでもあちらこちらで書かれていることもあって、「今さら自分がブログ上でやってもなぁ・・・」と二の足を踏んでいた。  とはいえ相変わらずの性と言おうか、思いついたんだからやってみようかしらと、最近になって ...

後鳥羽院project

2023/1/15

後鳥羽院『遠島御百首』私見その5~雑 三十首(上)~

      ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       雑三十首(上) 目次  七十一、いにしへの  七十二、をきわびぬ  七十三、とへかしな  七十四、もしほやく  七十五、かもめなく  七十六、なみまゆく  七十七、しほかぜに  七十八、さととをみ  七十九、とはるゝも  八十、ながき夜を  八十一、あかつきの  八十二、とにかくに  八十三、すぎにける  八十四、夕月夜  八十 ...

後鳥羽院project

2022/9/20

崇徳院と土御門院を巡る四国~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその4 最終回~

 保元の乱の首謀者として讃岐に流された崇徳院。そしてその曾姪孫(甥の孫)にあたり、承久の乱で流された父・後鳥羽院、弟・順徳院の身の上を憂い、自ら懇願し阿波に流された土御門院。この二人を追ったレポート。  Field work on SUTOKU Tenno & TSUCHIMIKADO Tenno.  SUTOKU Tenno[1,Jul,1119~14,Sep,1164(28,May,Genei2~26,Aug,Chokan2):75nd emperor(reigning:1123~1142)and R ...

後鳥羽院project

2022/12/22

後鳥羽院『遠島御百首』私見その2~夏 十五首~

      ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       夏十五首 目次  二十一、けふとてや  二十二、ふるさとを  二十三、たをやめの  二十四、暮かゝる  二十五、あやめふく  二十六、いまはとて  二十七、五月雨に  二十八、さみだれに  二十九、難波江や  三十、あはれにも  三十一、ゆふだちの  三十二、夕すゞみ  三十三、したくゆる  三十四、くれたけの  三十五、見るか ...

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レポート

2018/8/11

歌人・鳥居さんに会ってきた~三浦綾子記念文学館講演会レポ~

   6月13日、北海道旭川市在の三浦綾子記念文学館において、開館20周年を記念した特別講演会が開催された。  ゲストは"セーラー服の歌人"として注目されている歌人・鳥居氏だ。   キリンの子 鳥居歌集  2016年に本家・ネト見の方でも紹介した歌集『キリンの子』は現在までに累計2万部を売り上げている。また、彼女の壮絶な半生もまた注目されている理由のひとつに挙げられていると思うが、今回はそんな前提は一旦置いて、一読者として実際どのような人なのか気になっていたのでその講演会を聴きに行ってきましたというレポー ...

レポート

2021/2/26

【2021改訂版】ブログの更新サボってうつ病と闘ってきた

 さて今から遡ること6,7年前、メインの方で『ブログの更新サボって鬱病と闘ってきた』(現在削除済み)という記事をアップした。  公開当時はまだまだ頭もボンヤリという感じで、実際その後一年半にわたって更新も休止。その間、なんだかんだ寛解した。  寛解後は再びいろんなことにチャレンジしてみたくなったりで、結果目まぐるしい毎日を送るなか、自分がうつ病だったこともそれに関する記事をアップしたことも忘れていた。  しかし先日、メインの方で『【 鬱病 】経験者が語る! うつ病になるとできないこと5選!【 症状 】』と ...

レポート

2020/6/26

【谷根千の終着駅】由緒正しい下町食堂『動坂食堂』で食す!

       ※2019年12月に訪問した折りの記事です!  さて以前、本家の方で谷根千の散歩レポートを書いた際、千駄木・団子坂のところで「近くの動坂下にある『動坂食堂』がオススメ」みたいなこともあわせて書きましたが、今回は"やっと"件の『動坂食堂』に再訪できたので、その時のレポートです。  cf,谷根千を歩く。    谷根千を歩く。【おまけ編】    Amazon  新版 谷根千ちいさなお店散歩    さてまず個人的な思い出なのですが、東京に住んでいた頃、ここ『動坂食堂』さんの近くに住んでいたこともあっ ...

レポート

2021/3/12

【浪人時代の思い出】アリミツ君とマコちゃんのこと。

 受験シーズンも終わりに近づき、高校・大学はじめ、いろんなところで合格発表の知らせを耳にする季節となった。  毎年この時期になると、必ず浪人していた頃のことを思い出す。  私は某大手予備校で一年間浪人生活を送り、その間は予備校付属の寮で生活していた。  花の都・TOKYOに出てきたはずが、そこはなぜか木々の緑豊かで動物の鳴き声響くところだった。    人生初の満員電車。  都心ド真ん中にある予備校校舎へ通う日々。  起きてる時は(当然)勉強漬けだったが、ときどき破目を外して寮の仲間たちと長時間語り合ってい ...

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2023/7/8

【23区唯一の渓谷】等々力からめぐる東京古墳散歩♪

       Amazon  私のオアシス 等々力渓谷       ※今年(2023年)03月にした散歩です。        例のウイルスも収まりをみせ、所用をかねて上京した折、長い付き合いの知人家族から「朝食でも食べにおいでよ~」とお誘いを受けたので、散歩がてら東京・世田谷区から大田区にかけての多摩川沿いを歩きました。  件の知人宅は東急東横線の多摩川駅が最寄りなのですが、今回は大井町線等々力駅からの出発。        早朝だから人通りもまばら。そういえばこの駅前も再開発云々でいろいろ変わってたな。 ...

レポート

2023/4/15

【妖怪博士の遺産】中野区立哲学堂公園を歩く!

       Amazon  史上最強の哲学入門 Kindle版        2023年3月、3年前から世界を席巻した某ウイルスの流行も収まりをみせ、久々に(本格的な)上京しました。そのときブラっと『中野区立哲学堂公園』に立ち寄ったので、その時のレポートです。ひさびさの散歩記事。  さて、哲学堂公園への行き方は複数ありますが、今回は都営大江戸線落合南長崎駅から(その他のルートは記事末に記載します)。  A1出口から都道440号線・新青梅街道を西に向かって歩く。          途中、なんのご縁かこんな ...

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