感想・レビュー

2019/11/6

【読書感想】F・サガン『悲しみよ こんにちは』

  悲しみよ こんにちは フランソワーズ サガン 作 河野 万里子 訳 出版社:新潮社(新潮文庫) 出版日:2008/12/20  フランス文学史に燦然と輝く青春小説の聖典。18歳の少女が瑞々しい感性で描き上げた人間の愛憎劇。  フランスの女流作家フランソワーズ・サガンの代表作にして、彼女を一躍世に知らしめた作品。  青春期の男女を描いた小説としては20世紀最高の傑作など絶賛される。  ネタバレにもなってしまうのでものすごくざっくりとしたあらすじしか書かないが、早い話し、主人公の少女が父親の再婚を阻止すべ ...

感想・レビュー

2021/1/26

【読書感想】ひろゆき『叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」』

  叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」 ひろゆき 出版社:三笠書房 発売日:2020/11/25  これから社会に出る人に知っておいてほしい現実と、自分の頭で考えることの大切さ。  よくテレビ番組に出演した際、飄々としながらも歯に衣着せぬ物言いで"論破祭り"などと騒がれるひろゆきさん。本書でもその論調は変わらない。  普段から自著について「自分はしゃべっただけで、書いたのはライターさんや編集さん」と言っている通り、多分今回もそうなのだろうが、相変わらずの緩い口ぶりながら切れ味鋭い言葉が並ぶ。 ...

感想・レビュー

2023/11/21

【読書感想】カート・ヴォネガット『タイタンの妖女』

   タイタンの妖女 カート・ヴォネガット 著 / 浅倉久志 訳 / 和田誠 イラスト 出版社:早川書房(ハヤカワ文庫SF) 発売日:2009/02/25 タイタンの妖女 created by Rinker Kindle Amazon 楽天市場 名作古典SFからの現代への警鐘  古典SFの名作にして今なお支持されている本作。読書好きの人なら読んだことはなくともタイトルだけでも聞いたことはあるだろう。方々で岡田斗司夫さんがプッシュしていることもあって、最近でもネット上でたびたび話題にあがるので十数 ...

感想・レビュー

2023/2/23

【読書感想】小林昌樹『調べる技術: 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス』

  調べる技術: 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス 小林昌樹 出版社:皓星社 発売日:2022/12/09 お調べものはなんですか?  図書館には「司書」とよばれる人がいること、その認知度はあくまで肌感覚だが決して高くはないと思う。仮に司書という仕事を知っていても、実際なにをやっているのか知らない、あるいは助力を頼んだことがないという人も多いだろう。  本書は、長らく国会図書館に勤め、現在は大学でレファレンスに関する授業も受け持つ著者がおくる「調べもの」の極意を集めたような一冊。調べ物のプロたる「司 ...

感想・レビュー

2023/9/23

【読書感想】川村裕子・早川圭子『はじめての王朝文化辞典』

  はじめての王朝文化辞典 川村裕子 著 / 早川圭子 イラスト 出版社:KADOKAWA(角川ソフィア文庫) 発売日:2022/08/24  日本古典文学から紐解くお公家さんたちの生活  本書は、かつて出版された『王朝生活の基礎知識』を全面的に加筆修正し文庫化したものである。『源氏物語』や『蜻蛉日記』などの古典文学の有名シーンをベースに、そこで繰り広げられている公家社会の生活ぶりを現代生活に置き換えつつ解説してくれている、そんな「有識故実」の入門書だ。住居や食事、ファッションや遊戯はもちろん、人生におけ ...

感想・レビュー

2021/4/16

【読書感想】ゲオルギー・システマスキー『人生は楽しいかい?』

  人生は楽しいかい? ゲオルギー・システマスキー 著 / 北川 貴英 監修 出版社:夜間飛行 発売日:2016/06/20 ロシア軍格闘術・システマ、それはロシア版ヨーガ  ロシア生まれの武術・システマをご存知だろうか?  武道や格闘技に興味のある人なら一度ならず名前を聞いたことがあるだろう。  近年その注目度が増しているシステマという一武術の奥義が、本書では遺憾なく開陳されている。  内容も以前紹介した『もしアドラーが上司だったら』のようなストーリー仕立てになっており、親しみやすい。  流暢な関西弁を ...

もっと見る

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その3(Ⅰ・20~30)

       3回目は第1章20~30節。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)       テキスト   ①atha vyavasthitāndṛṣṭvā dhārtarāṣṭrānkapidhvajaḥ /  pravṛtte śastrasaṃpāte dhanurudyamya pāṇḍavaḥ // 20 //  hṛṣīkeśaṃ tadā vākyamidamāha mahipate /  senayorubhayormadhye rath ...

インド哲学仏教学

2026/8/4

【ヒンドゥー教の聖典】『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!~前説~

      目次  まえがきと若干の解説  『バガヴァッドギーター』テキスト  参考文献        【本編】  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その1(Ⅰ・1~11)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その3(Ⅰ・20~30)   ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その4(Ⅰ・31~39)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その5(Ⅰ・40~47)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!そ ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

インド二大叙事詩とヒンドゥー教の聖典について

【改訂記録】 ・2021/02/24 「あらすじ」欄に各巻・章のタイトル追記。   前説  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ(Mahābhāratam)』と『ラーマーヤナ(Rāmāyana)』、そしてヒンドゥー教における最高の聖典と称される『バガヴァット・ギーター(Śrīmadbhagavad gītā)』について、その概要をまとめてみました(個人的な復習の意味も含め)。  かなりザックリとしたまとめになっていますが、本記事はちょっと実験したい部分もあって、今後も随時改訂したりしていきたいと思います。 ...

感想・レビュー インド哲学仏教学

2024/1/5

【読書感想】清水俊史『ブッダという男 初期仏典を読みとく』

ブッダという男 ――初期仏典を読みとく (ちくま新書) created by Rinker Kindle Amazon 楽天市場   ブッダという男 初期仏典を読みとく 清水俊文 出版社:筑摩書房(ちくま新書1763) 発売日:2023/12/07 人間・ブッダは何を語っていたのか  ネット上を一時騒然とさせた仏教学界隈のアカハラ問題。その渦中にあった著者による「あとがき」が脚光を浴び、本書は刊行直後からベストセラーとなっている。若干そればかりが注目され独り歩きしている感は否めないが、本書は内容 ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その4(Ⅰ・31~39)

       4回目は第1章31~39節。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)       テキスト   ①nimittāni ca paśyāmi viparītāni keśava /  na ca śreyo'nupaśyāmi hatvā svajanamāhave // 31 // ②na kāṅkṣe vijayaṃ kṛṣṇa na ca rājyaṃ sukhāni ca /  kiṃ no rājyena govinda kiṃ bh ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19)

   2回目は第1章12~19節をば。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)     テキスト   ①tasya saṃjanayanharṣaṃ kuruvṛddhaḥ pitāmahāḥ /  siṃhanādaṃ vinadyoccaiḥ śańkhaṃ dadhmau pratāpavān // 12 // ②tataḥ śankhaśca bheryaśca paṇavānakagomukhāḥ /  sahasaivābhyahanyanta ...

もっと見る

後鳥羽院project

2022/12/15

後鳥羽院『遠島御百首』私見その1~春 ニ十首~

      ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       はじめに・・・  私を後鳥羽院がらみの研究(?)に誘った例のママは、最近は以前にもまして悠々自適の生活をしているらしい。なんでも「野垂れ死にが理想の死に方」なのだそうで、いまだ某ウイルスの話題に事欠かない昨今ながら、全国各地を転々と飛び回っているらしい。  そんなママから最初に後鳥羽院の話しをもらった時、見せられたノートがあった ...

後鳥羽院project

2021/12/7

藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その4(承元元年~承元2年)

     後鳥羽院の姿を記録する主な公家日記2  (甚之助蔵 藤原家実『猪隈関白記』岩波書店、昭和62年第2刷)   ・【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻)   ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻)   ・その6 建保元年~建保6年(第2巻)   ・その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻) 目次 ●藤 ...

後鳥羽院project

2023/7/28

【ご冗談でしょ定家さん!?】『明月記』講読その1~治承四五年記①(治承四年二月~五月)~

       以前公開した『藤原定家「明月記」にみる後鳥羽院の姿』シリーズをやっていた頃から、いつかは『明月記』自体の講読もやりたいと考えていた。  ただ、当の『明月記』が難解極まりないことと、明月記研究会はじめ堀田善衛御大などさまざまな研究者や愛読者がすでに多くの著作や論文を出している。またネット記事なんかでもあちらこちらで書かれていることもあって、「今さら自分がブログ上でやってもなぁ・・・」と二の足を踏んでいた。  とはいえ相変わらずの性と言おうか、思いついたんだからやってみようかしらと、最近になって ...

後鳥羽院project

2023/1/30

後鳥羽院『遠島御百首』私見その6~雑 三十首(下)~

(綱掛の松 隠岐・海士町 2018年08月甚之助撮影)     ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       雑三十首(下) 目次  八十六、日にそひて  八十七、何となく  八十八、人ごゝろ  八十九、みほのうらの  九十、たとふべき  九十一、はれやらぬ  九十二、うしとだに  九十三、ことづてむ  九十四、とにかくに  九十五、ふるさとの  九十六、おもふ人  九十七、われこそは ...

後鳥羽院project

2022/12/27

後鳥羽院『遠島御百首』私見その3~秋 ニ十首~

      ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       秋ニ十首 目次  三十六、かたしきの  三十七、よのつねの  三十八、秋されば  三十九、おもひやれ  四十、咲かゝる  四十一、ふるさとを  四十二、いかにせむ  四十三、なきまさる  四十四、いたづらに  四十五、おもひやれ  四十六、ふるさとの  四十七、野をそむる  四十八、あはれなる  四十九、はれよかし  五十、岡の ...

後鳥羽院project

2019/8/15

【佐渡の秘境!!】順徳院崩御の地・堂所御所跡へ【佐渡の入江の順徳院 後編】

 Field work on JUNTOKU Tenno[22,Oct,1197~7,Oct,1242(10,Sep,Kenkyu8~12,Sep,Ninji3):84nd emperor(reigning:1210~1221)and Retired Emperor].  Click here for the part1  前編はこちら   ↓↓↓↓  佐渡の入江の順徳院 前編~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその2~      パパ・後鳥羽院譲りの文武両道の逸材      目次  前説  堂所御所跡へ ...

もっと見る

レポート

2021/2/26

【2021改訂版】ブログの更新サボってうつ病と闘ってきた

 さて今から遡ること6,7年前、メインの方で『ブログの更新サボって鬱病と闘ってきた』(現在削除済み)という記事をアップした。  公開当時はまだまだ頭もボンヤリという感じで、実際その後一年半にわたって更新も休止。その間、なんだかんだ寛解した。  寛解後は再びいろんなことにチャレンジしてみたくなったりで、結果目まぐるしい毎日を送るなか、自分がうつ病だったこともそれに関する記事をアップしたことも忘れていた。  しかし先日、メインの方で『【 鬱病 】経験者が語る! うつ病になるとできないこと5選!【 症状 】』と ...

レポート 後鳥羽院project

2022/2/24

【とはずがたり】「『明月記』の後鳥羽院」よもやま話

       調査・研究に用いているノート。    「藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿」調査中の机の上w   目次  ・きっかけ  ・隠岐、集中豪雨  ・愛憎半ば、悲喜交々 その1  ・愛憎半ば、悲喜交々 その2  ・ママ、クルマにはねられる  ・『吉記』のこと  ・青天の霹靂  ・ママ、怒る!  ・老いたる定家と後鳥羽院  ・拝啓、藤原定家さま    Amazon  夢のなかぞら―父 藤原定家と後鳥羽院   ・きっかけ   「まあ、またなんとも面白そうなことを……」        2021年春、私は ...

レポート

2022/8/20

【今日もご安全に】ドラレコ買ったからつけてみた!

 北海道はすっかり冬景色となりましたが、さて、だいぶん前から新しいドラレコをつけようつけようと思っていてなかなかできなかったのを、先日やっと取り付けましたという報告がてら、今回購入したドラレコのレビューなんぞ書こうかという次第。        今回購入したのはこちらのドラレコ。    Amazon  Tapewo【最新版】 4.3インチタミラー型ドライブレコーダー 前後カメラ    ミラータイプでバックカメラ付き、画質はフルHD1080P。    内容物はこんな感じ。    ・本体  ・バックカメラ  ・ ...

レポート

2023/4/15

【妖怪博士の遺産】中野区立哲学堂公園を歩く!

       Amazon  史上最強の哲学入門 Kindle版        2023年3月、3年前から世界を席巻した某ウイルスの流行も収まりをみせ、久々に(本格的な)上京しました。そのときブラっと『中野区立哲学堂公園』に立ち寄ったので、その時のレポートです。ひさびさの散歩記事。  さて、哲学堂公園への行き方は複数ありますが、今回は都営大江戸線落合南長崎駅から(その他のルートは記事末に記載します)。  A1出口から都道440号線・新青梅街道を西に向かって歩く。          途中、なんのご縁かこんな ...

レポート

2018/12/25

夏目漱石『こころ』の散歩道

 「日本で一番売れている」本(2016年時点)  cf,漱石没後100年、人気衰えず 書店で文庫フェア   夏目漱石『こころ』(新潮文庫版)  夏目漱石後期三部作の一つ『こころ』。  その中でも第三章にあたる「下 先生と遺書」は今でも高校の教科書に掲載されている。  あらすじに関しては……長くなるので以下のサイトに譲ります。   cf,夏目漱石「こころ」のあらすじを紹介  さて、主人公の『私』が鎌倉で出会った『先生』は、学生時代に現在の文京区小石川にある伝通院裏で下宿していたのですが、物語のキーパーソンで ...

レポート

2018/8/11

歌人・鳥居さんに会ってきた~三浦綾子記念文学館講演会レポ~

   6月13日、北海道旭川市在の三浦綾子記念文学館において、開館20周年を記念した特別講演会が開催された。  ゲストは"セーラー服の歌人"として注目されている歌人・鳥居氏だ。   キリンの子 鳥居歌集  2016年に本家・ネト見の方でも紹介した歌集『キリンの子』は現在までに累計2万部を売り上げている。また、彼女の壮絶な半生もまた注目されている理由のひとつに挙げられていると思うが、今回はそんな前提は一旦置いて、一読者として実際どのような人なのか気になっていたのでその講演会を聴きに行ってきましたというレポー ...

もっと見る