感想・レビュー

2020/7/17

【読書感想】パオロ・ジョルダーノ『コロナの時代の僕ら』

  コロナの時代の僕ら パオロ・ジョルダーノ 著  飯田亮介 訳 出版社:早川書房 発売日:2020/04/24   これから生きていくために必要な「選択」する意思    今年2月下旬から3月上旬のあいだ、新型コロナウイルスの急速な感染拡大の一路を辿っていたイタリアで、新進気鋭の作家によって紡がれたエッセイ集。  世界数十か国で緊急翻訳されるなど話題になっている本書。  収録されている27篇のエッセイはいずれもコンパクトで、かつ予備知識のない人でも容易く理解できるほど平易に書かれている。嵐の前の静けさとい ...

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2021/7/31

【読書感想】小倉紀蔵『群島の文明と大陸の文明』

  群島の文明と大陸の文明 小倉紀蔵 出版社:PHP研究所(PHP新書) 発売日:2020/10/15 日本文化の精神性を読み直す「もののあはれ」  地理的条件のもと、その環境下でいかに日本の文化文明が形成されていったのか、そこから見える将来的な展望にまで踏み込んだ意欲作。  著者の記したものは以前に『朝鮮思想全史』などを挙げているが、略歴通り朝鮮半島を中心とした東アジア思想が専門である。  本書では日本を"群島の文明"と規定した上で、ユーラシア大陸を基軸とした"大陸"のそれと対照することで見えてくる日本 ...

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2023/8/19

【読書感想】頭木弘樹・川野一宇・根田知世已・NHK深夜便『絶望名言』《文庫版》

  絶望名言《文庫版》 頭木弘樹・川野一宇・根田知世已・NHKラジオ深夜便制作班 出版社:飛鳥新社 発売日:2023/04/25 今日を生きるためのネガティブさ  NHK「ラジオ深夜便」の人気コーナー「絶望名言」。その放送内容が単行本化されたのが2018年だが、今回待望の文庫化がされた。  タイトルだけからするとなんともネガティブな印象しか受けないが、実際その通りだから仕方がない。「無能、あらゆる点で、しかも完璧に」「明けない夜もある」「人生は地獄よりも地獄的だ」……。なんということだろう、歴史に名を遺す ...

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2018/8/17

【読書感想】薄田泣菫 完本『茶話』(上・中・下 冨山房百科文庫)

     名だたる文豪を輩出した明治文壇にあって、浪漫派・象徴派の詩人として名を馳せた泣菫は、大正の幕開けと共に随筆の世界に飛び込んだ。  大阪毎日新聞社に在籍しながらその紙面において、「茶を飲みながら喋る気楽な世間話」をコンセプトに延べ811編のコラムを執筆した。それがこの『茶話』だ。  古今東西、市井の人々から著名人、果ては歴史上の人物に至るまで、さまざまな逸話・風説、奇行・奇癖、失敗談などを「あたかも見てきたよう」に簡潔でユーモアあふれる文章で綴ったこのコラム群は、著者の広範な知識量と的確な人物評、 ...

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2020/9/10

【読書感想】宇沢弘文『社会的共通資本』

  社会的共通資本 宇沢弘文 出版社:岩波書店(岩波新書) 発売日:2000/11/20  ひとがヒトとして豊かに生活できる社会的装置    世界的に蔓延する新型コロナの影響から求められ始めた、新しい生活様式。  また某国大統領による独善的な経済政策や国際間での摩擦、「資本主義の終焉」と叫ばれて久しい中でそんなことにあれだこれだと考えを巡らせているうちにふと思い出して再読した本。    日本人としてもっともノーベル経済学賞に近づいた人物といわれる著者が提唱した「社会的共通資本」。それは20世紀を象徴する資 ...

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2021/6/25

【読書感想】網野善彦・宮田登『歴史の中で語られてこなかったこと おんな・子供・老人からの「日本史」』

  歴史の中で語られてこなかったこと おんな・子供・老人からの「日本史」 網野善彦・宮田登 出版社:朝日新聞出版 発売日:2020/08/07 網野史観を読み直す名対談集  宮崎駿監督作品『もののけ姫』は、いわゆる網野史観をベースにイメージを膨らませた作品であることは有名だ。  本書は歴史学者・網野善彦氏と、長年交流のあった民俗学者・宮田登氏とが80~90年代にかけて行った対談集。  二人とも鬼籍につかれて20年近くなるが、今なおこうして新装版が出されるあたり、お二人の歴史観・民俗史観の影響力の大きさが窺 ...

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インド哲学仏教学

2020/5/21

『般若心経』をサンスクリット原典で読む!

 多分日本で一番有名な仏教経典である『般若心経』は、正式には『般若波羅蜜多心経』と呼ばれ、今から1600年以前、サンスクリット語で書かれた『Prajñāpāramitā-hṛdaya-sūtram』を漢訳したものだ。  そもそも『般若心経』は、仏になるために菩薩が行う修行・知恵(般若波羅蜜・般若波羅蜜多)を説く『般若経』という経典群の中のひとつで、大乗仏教の根本思想である"空"の思想を簡潔にまとめている。そのため、漢訳されたものもその短い文言の中で大乗仏教の根幹が説かれているとされ、多くの宗派で今なお用い ...

インド哲学仏教学

2023/6/13

【ゆる解説】『「バガヴァッドギーター」原典訳してみた』補遺

『マハーバーラタ』におけるクルクシェートラの戦いを描いた18世紀の写本(A Tribute to Hinduismより)      目次  ・人名用語解説  ・超要約「バガヴァッドギーター」  ・「ギーター」こぼれ話し  参考文献    ※本編はコチラから!        Amazon  いちばんていねいでいちばん易しいインド哲学 超入門『バガヴァッド・ギーター』       人名用語解説(第1章~第2章11節に限る) ・アシュヴァッターマン:ドローナの長男。カウラヴァ軍の勇士。 ・アナンタヴィジャヤ:ユ ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その4(Ⅰ・31~39)

       4回目は第1章31~39節。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)       テキスト   ①nimittāni ca paśyāmi viparītāni keśava /  na ca śreyo'nupaśyāmi hatvā svajanamāhave // 31 // ②na kāṅkṣe vijayaṃ kṛṣṇa na ca rājyaṃ sukhāni ca /  kiṃ no rājyena govinda kiṃ bh ...

インド哲学仏教学

2026/8/4

【ヒンドゥー教の聖典】『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!~前説~

      目次  まえがきと若干の解説  『バガヴァッドギーター』テキスト  参考文献        【本編】  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その1(Ⅰ・1~11)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その3(Ⅰ・20~30)   ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その4(Ⅰ・31~39)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その5(Ⅰ・40~47)  ・『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!そ ...

感想・レビュー インド哲学仏教学

2024/3/24

【読書感想】ヴィヤーサ著・石原美里訳『邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻』

  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 created by Rinker Amazon 楽天市場  邦訳マハーバーラタ 寡妃の巻 ヴィヤーサ 著 / 石原美里 訳 出版社:パブファンセルフ 発売日:2024/01/29 愛する者を失った悲しみと屈辱  インドの二大叙事詩『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』。そのうち『マハーバーラタ』(以下MBh)の第11巻「Strī-Parvan」の日本語訳注本。  MBhの日本語完訳は未だなされていない。故上村勝彦博士による翻訳は、急逝のため第8巻途中までにとどま ...

インド哲学仏教学

2023/6/10

『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19)

   2回目は第1章12~19節をば。  記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで)     テキスト   ①tasya saṃjanayanharṣaṃ kuruvṛddhaḥ pitāmahāḥ /  siṃhanādaṃ vinadyoccaiḥ śańkhaṃ dadhmau pratāpavān // 12 // ②tataḥ śankhaśca bheryaśca paṇavānakagomukhāḥ /  sahasaivābhyahanyanta ...

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後鳥羽院project

2023/1/30

後鳥羽院『遠島御百首』私見その6~雑 三十首(下)~

(綱掛の松 隠岐・海士町 2018年08月甚之助撮影)     ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       雑三十首(下) 目次  八十六、日にそひて  八十七、何となく  八十八、人ごゝろ  八十九、みほのうらの  九十、たとふべき  九十一、はれやらぬ  九十二、うしとだに  九十三、ことづてむ  九十四、とにかくに  九十五、ふるさとの  九十六、おもふ人  九十七、われこそは ...

後鳥羽院project

2022/9/20

崇徳院と土御門院を巡る四国~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその4 最終回~

 保元の乱の首謀者として讃岐に流された崇徳院。そしてその曾姪孫(甥の孫)にあたり、承久の乱で流された父・後鳥羽院、弟・順徳院の身の上を憂い、自ら懇願し阿波に流された土御門院。この二人を追ったレポート。  Field work on SUTOKU Tenno & TSUCHIMIKADO Tenno.  SUTOKU Tenno[1,Jul,1119~14,Sep,1164(28,May,Genei2~26,Aug,Chokan2):75nd emperor(reigning:1123~1142)and R ...

後鳥羽院project

2023/1/4

後鳥羽院『遠島御百首』私見その4~冬 十五首~

      ・その1~春 二十首~ ・その2~夏 十五首~ ・その3~秋 二十首~ ・その4~冬 十五首~ ・その5~雑 三十首(上)~ ・その6~雑 三十首(下)~       冬十五首 目次  五十六、見し世にも  五十七、冬くれば  五十八、しもがれの  五十九、かみな月  六十、をのづから  六十一、こぞよりは  六十二、そめのこし  六十三、たつた山  六十四、苔しける  六十五、冬ごもり  六十六、やまかぜの  六十七、さながらや  六十八、けさみれば  六十九、おく山の  七十、かぞふれば ...

後鳥羽院project

2021/10/8

藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その2(建仁2年~元久元年)

     (甚之助蔵 『明月記研究』明月記研究会編)   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻)   ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻)   ・その6 建保元年~建保6年(第2巻)   ・その7 承久元年~嘉禎元年・その後(第2・3巻) 目次 ●藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その2(建仁2年~元久元年)  建仁2年  建仁3年  元久元年 建仁2年 1202年 後 ...

後鳥羽院project

2020/3/20

令和の時代に鎌倉幕府に思いを馳せてみた~後鳥羽院をめぐるフィールドワークその3~

 Field work on KAMAKURA Shogunate around the Jokyu war age.  2019年末、例の後鳥羽院単推しの通称ママとの取材旅行の前に、ひとりブラっと古都・鎌倉に残る承久の乱関連の史蹟を巡ってきましたというレポ。 目次  ・切通しのこと  ・冬の由比ガ浜  ・承久の乱を彩った人々の眠る場所と日蓮の消息  ・鶴岡八幡宮と承久の乱  参考文献 Amazon図説 鎌倉府 新版改訂 鎌倉観光文化検定 公式テキストブック 切通しのこと  平安時代末、栄華を極めた平家の ...

後鳥羽院project

2022/9/20

【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏

 本稿は、後鳥羽院生前の出来事のうち、院のその後の人生に影響を与えたであろう事柄を、公卿日記をはじめとした史料より抽出したものである。  注意事項として、記事内の各天皇および院の呼称は省略している。また本稿タイトルの「運命の四の宮」は、目崎徳衛『史伝後鳥羽院』の一節による。   ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻)   ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻)   ・その3 元久2年~建永元年(第1巻)   ・その4 承元元年~承元2年(第2巻)   ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻)   ・その6  ...

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レポート

2018/8/23

銀座の老舗バー『ルパン』で呑む

 日本屈指の繁華街、東京・銀座。  和光の時計台は海外の旅行者からも人気のスポットですが、そこからほど近いところにあるのが老舗バー『ルパン』。  創業は昭和3(1928)年。開店時には当時近くにあった文藝春秋社の面々からの支援があり、以来文壇バーとして知られています。  注:本記事にはお酒にまつわる記述がありますが、飲酒を勧めるものではありません。    また、未成年の飲酒は法律で禁止されています。    成人であっても節度とマナーを守って過度な飲酒は控えましょう。    飲酒運転は絶対やめましょう。 猪 ...

レポート

2021/3/12

【浪人時代の思い出】アリミツ君とマコちゃんのこと。

 受験シーズンも終わりに近づき、高校・大学はじめ、いろんなところで合格発表の知らせを耳にする季節となった。  毎年この時期になると、必ず浪人していた頃のことを思い出す。  私は某大手予備校で一年間浪人生活を送り、その間は予備校付属の寮で生活していた。  花の都・TOKYOに出てきたはずが、そこはなぜか木々の緑豊かで動物の鳴き声響くところだった。    人生初の満員電車。  都心ド真ん中にある予備校校舎へ通う日々。  起きてる時は(当然)勉強漬けだったが、ときどき破目を外して寮の仲間たちと長時間語り合ってい ...

後鳥羽院project レポート

2022/2/24

【とはずがたり】「『明月記』の後鳥羽院」よもやま話

       調査・研究に用いているノート。    「藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿」調査中の机の上w   目次  ・きっかけ  ・隠岐、集中豪雨  ・愛憎半ば、悲喜交々 その1  ・愛憎半ば、悲喜交々 その2  ・ママ、クルマにはねられる  ・『吉記』のこと  ・青天の霹靂  ・ママ、怒る!  ・老いたる定家と後鳥羽院  ・拝啓、藤原定家さま    Amazon  夢のなかぞら―父 藤原定家と後鳥羽院   ・きっかけ   「まあ、またなんとも面白そうなことを……」        2021年春、私は ...

レポート

2019/6/22

オッサンだから今話題の『DEOCO』使ってみましたレポw

     ※個人的な感想です。効果には個人差があります(多分)。      どうも、基本的に口と腋と足が臭く“哀しい臭い”と書いて男の『哀臭(あいしゅう)』を漂わせている甚之助です。見事にオッサンです。    さて、昨今巷のオッサンたちの間では   ●リアル君の名は。おっさんが女の子の匂いを買ってきて身につけたら、たまらない背徳感を味わえた (わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる)   ●デオコで女の子の匂いを感じるためには女の子との思い出が必要という問題 (本しゃぶり)  これらの記事を皮 ...

レポート

2022/8/20

【今日もご安全に】ドラレコ買ったからつけてみた!

 北海道はすっかり冬景色となりましたが、さて、だいぶん前から新しいドラレコをつけようつけようと思っていてなかなかできなかったのを、先日やっと取り付けましたという報告がてら、今回購入したドラレコのレビューなんぞ書こうかという次第。        今回購入したのはこちらのドラレコ。    Amazon  Tapewo【最新版】 4.3インチタミラー型ドライブレコーダー 前後カメラ    ミラータイプでバックカメラ付き、画質はフルHD1080P。    内容物はこんな感じ。    ・本体  ・バックカメラ  ・ ...

レポート

2025/1/3

湖に沈む「幻の橋」タウシュベツ川橋梁を行く!

     ※本記事の内容は2024年08月時点のものです。  北海道上士幌町。  大雪山東南麓に位置するこの街には、「幻の橋」と呼ばれる橋がある。正式名称・タウシュベツ川橋梁は、知る人ぞ知る北海道屈指の秘境だ(「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」として北海道遺産や近代化産業遺産に認定されている。なお)。  これは2024年08月にタウシュベツ川橋梁を訪れた時のレポートです(なお見学方法はこちらから)。   300ピース ジグソーパズル KAGAYA 幻の銀河橋(北海道)-天の川とタウシュベツ川橋梁- ...

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