【読書感想】小林昌樹『調べる技術: 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス』
調べる技術: 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス 小林昌樹 出版社:皓星社 発売日:2022/12/09 お調べものはなんですか? 図書館には「司書」とよばれる人がいること、その認知度はあくまで肌感覚だが決して高くはないと思う。仮に司書という仕事を知っていても、実際なにをやっているのか知らない、あるいは助力を頼んだことがないという人も多いだろう。 本書は、長らく国会図書館に勤め、現在は大学でレファレンスに関する授業も受け持つ著者がおくる「調べもの」の極意を集めたような一冊。調べ物のプロたる「司 ...
【読書感想】礒﨑敦仁『北朝鮮と観光』
北朝鮮と観光 礒﨑敦仁 出版社:毎日新聞出版 発売日:2019/07/27 観光大国・北朝鮮の実情と狙い タイトルに心を射抜かれて読んだ本。 拉致問題やミサイルの脅威など、日本にとっては近くて遠い、そして閉ざされた国である北朝鮮。しかし実際には、国交を結ぶ国はヨーロッパを中心にその数は160か国にも及ぶ。 本書はタイトル通り、北朝鮮の観光の実態について書かれた本だが、揚げ足を取るべくその不手際や恥部を晒すような記載は微塵もない。むしろ著者の研究や訪朝経験で入手しえた事実を的確にかつ淡々と ...
【読書感想】Joshua Higuchi『ベテルギウス』
ベテルギウス Joshua Higuchi 出版社:幻冬舎 発売日:2019/11/28 地球からもっとも輝いて見える恒星。その終末を巡る理論派SF 夜空を見上げてみえる星空の中、もっとも輝いて見える恒星がオリオン座のベテルギウスだといわれている。 また数年来、その輝きの減光が取りざたされ、今や超新星爆発寸前の星とも言われている。 多少物理学に興味のある人ならその異様さが分かると思うが、現在確認できるベテルギウスの形態は雪だるまのようにいびつな形をしている。 このことがなにを意味しているのか ...
【読書感想】窪田新之助『対馬の海に沈む』
対馬の海に沈む [ 窪田 新之助 ] created by Rinker Amazon 楽天市場 対馬の海に沈む 窪田新之助 出版社:集英社 発売日:2024/12/05 対馬の海に沈む (集英社学芸単行本) Kindle版 田舎社会の闇、農協組織の闇 2024年開高健ノンフィクション賞を受賞して以来、根強く話題となり続けているルポ。ノンフィクションというよりミステリー小説のそれを思わせる気迫がある。 長崎の離島で起こったある農協職員の事故死。その職員は全国に名を轟かせた凄腕営業マン ...
【読書感想】紀田順一郎『蔵書一代―なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか』
蔵書一代―なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか 紀田順一郎 出版社;松籟社 発売日:2017/07/01 蔵書とは、散逸するものである…… 以前にもチラッと書いたことだが、愛書家にとっての蔵書とは散逸することが前提にある。 本書は長年さまざまな媒体で著述をしてきた著者が、その人生の終末期において現実的な理由から図らずも膨大な蔵書を処分した顛末記である。「愛書家」「蔵書家」といった言葉は昨今死語になりつつあるが。その直前の回想記といっても過言ではない。 生活の改善を求めて地方へ移住するも、現実的な問 ...
【読書感想】高桑和巳『哲学で抵抗する』
哲学で抵抗する 高桑和巳 出版社:集英社(集英社新書) 発売日:2022/01/17 清く正しく実践する哲学的態度 本書は哲学の入門書でありながら、巷に跋扈する数多の哲学入門書と比して極めて異色である。それは本書が「哲学する」ことの入門書だからだ。 そもそも哲学とは、その本道たる哲学史の勉強に留まらない。つまり知識を身に付けるだけのものではないのだ。 本書では、哲学を「世界認識を変える知的抵抗」と定義し、それをもとにマイノリティがマジョリティに対する抵抗の中で「哲学」が立ち上がっいく様子 ...
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【読書感想】清水俊史『ブッダという男 初期仏典を読みとく』
ブッダという男 ――初期仏典を読みとく (ちくま新書) created by Rinker Kindle Amazon 楽天市場 ブッダという男 初期仏典を読みとく 清水俊文 出版社:筑摩書房(ちくま新書1763) 発売日:2023/12/07 人間・ブッダは何を語っていたのか ネット上を一時騒然とさせた仏教学界隈のアカハラ問題。その渦中にあった著者による「あとがき」が脚光を浴び、本書は刊行直後からベストセラーとなっている。若干そればかりが注目され独り歩きしている感は否めないが、本書は内容 ...
【ゆる解説】『「バガヴァッドギーター」原典訳してみた』補遺
『マハーバーラタ』におけるクルクシェートラの戦いを描いた18世紀の写本(A Tribute to Hinduismより) 目次 ・人名用語解説 ・超要約「バガヴァッドギーター」 ・「ギーター」こぼれ話し 参考文献 ※本編はコチラから! Amazon いちばんていねいでいちばん易しいインド哲学 超入門『バガヴァッド・ギーター』 人名用語解説(第1章~第2章11節に限る) ・アシュヴァッターマン:ドローナの長男。カウラヴァ軍の勇士。 ・アナンタヴィジャヤ:ユ ...
『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その6(Ⅱ・1~11)
6回目は第2章1~11節 記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで) テキスト ①sañjaya uvāca / taṃ tathā kṛpayāviṣṭam aśrupūrṇākulekṣaṇam / viṣīdantam idaṃ vākyam uvāca madhusūdanaḥ // 1 // ②śrībhagavān uvāca / kutastvā kaśmalam idaṃ viṣame samupasthit ...
『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その3(Ⅰ・20~30)
3回目は第1章20~30節。 記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで) テキスト ①atha vyavasthitāndṛṣṭvā dhārtarāṣṭrānkapidhvajaḥ / pravṛtte śastrasaṃpāte dhanurudyamya pāṇḍavaḥ // 20 // hṛṣīkeśaṃ tadā vākyamidamāha mahipate / senayorubhayormadhye rath ...
『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その2(Ⅰ・12~19)
2回目は第1章12~19節をば。 記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで) テキスト ①tasya saṃjanayanharṣaṃ kuruvṛddhaḥ pitāmahāḥ / siṃhanādaṃ vinadyoccaiḥ śańkhaṃ dadhmau pratāpavān // 12 // ②tataḥ śankhaśca bheryaśca paṇavānakagomukhāḥ / sahasaivābhyahanyanta ...
『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!その5(Ⅰ・40~47)
5回目は第1章40~47節 記事一覧はコチラ→『バガヴァッドギーター』原典訳してみた!(第1章~第2章11節まで) テキスト ①kulakṣaye praṇaśyanti kuladharmāḥ sanātanāḥ / dharme naṣṭe kulaṃ kṛtsnamadharmo'bhibhavatyuta // 40 // ②adharmābhibhavātkṛṣṇa praduṣyanti kulastriyaḥ / strīṣu duṣṭāsu vārṣṇe ...
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京の都とその周辺と【RE:後鳥羽院を巡るフィールドワークその2】
目次 プロローグ~そうだ京都へ行こう!~ 金ヶ原の裾野 私的聖地巡礼 参考文献 るるぶ京都’25 (るるぶ情報版) created by Rinker ジェイティビィパブリッシング Amazon 楽天市場 プロローグ~そうだ京都へ行こう!~ 2023年末、所用をかねて上京した折、一日半ほど予定がぽっかり空いてしまった・・・。 今までならこんな時、時間が出来れば国会図書館に籠るなりネット上のつながりのある人に片っ端から連絡を入れるなりするのだが、最近はなんだかそんな ...
【ご冗談でしょ定家さん!?】『明月記』講読その1~治承四五年記①(治承四年二月~五月)~
以前公開した『藤原定家「明月記」にみる後鳥羽院の姿』シリーズをやっていた頃から、いつかは『明月記』自体の講読もやりたいと考えていた。 ただ、当の『明月記』が難解極まりないことと、明月記研究会はじめ堀田善衛御大などさまざまな研究者や愛読者がすでに多くの著作や論文を出している。またネット記事なんかでもあちらこちらで書かれていることもあって、「今さら自分がブログ上でやってもなぁ・・・」と二の足を踏んでいた。 とはいえ相変わらずの性と言おうか、思いついたんだからやってみようかしらと、最近になって ...
藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 その1(治承4年~建仁元年)
(甚之助蔵 藤原定家『明月記』全3巻、国書刊行会、明治44年刊) さて、フィールドワーク編も終わったということで、これからは例の後鳥羽院単推しのママとの共同研究(←大袈裟w)をちょいちょい記事にしていってみようと思います。 まずその最初に、生前の後鳥羽院の姿を知る上で貴重な史料となる歌人・藤原定家の日記『明月記』に描かれている院像を見ていきます。 今回は"その1"として後鳥羽院の名前が出ている『明月記』の記事の年月日をピックアップし、その時期に院と定家はどのような関係性・交流があったか ...
【とはずがたり】「『明月記』の後鳥羽院」よもやま話
調査・研究に用いているノート。 「藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿」調査中の机の上w 目次 ・きっかけ ・隠岐、集中豪雨 ・愛憎半ば、悲喜交々 その1 ・愛憎半ば、悲喜交々 その2 ・ママ、クルマにはねられる ・『吉記』のこと ・青天の霹靂 ・ママ、怒る! ・老いたる定家と後鳥羽院 ・拝啓、藤原定家さま Amazon 夢のなかぞら―父 藤原定家と後鳥羽院 ・きっかけ 「まあ、またなんとも面白そうなことを……」 2021年春、私は ...
【隠岐ふたたび…】RE:後鳥羽院を巡るフィールドワーク~後編~
前回のあらすじ コロナ禍を経て念願の隠岐再訪を目指したワタクシ甚之助は、酷暑の中を必死の思いで隠岐・海士町に降り立った。 そして遂に、前回目の当たりにすることのできなかった後鳥羽院「お腰掛けの石」と対面する。 次いで、SNS上では長らく付き合いのある通称・元大賞さんと邂逅し、ふたたび隠岐神社・御在所&火葬塚跡へと足を踏み入れた。そこで目にしたものは「ひと夏の幻」だった……。 目次 ・पुनर्मिलाम ओकि・・・ ・キーポイント美保関 ・それからのこと 出雲国風土記 (講談社 ...
【運命の四の宮】藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿 序奏
本稿は、後鳥羽院生前の出来事のうち、院のその後の人生に影響を与えたであろう事柄を、公卿日記をはじめとした史料より抽出したものである。 注意事項として、記事内の各天皇および院の呼称は省略している。また本稿タイトルの「運命の四の宮」は、目崎徳衛『史伝後鳥羽院』の一節による。 ・その1 治承4年~建仁元年(第1巻) ・その2 建仁2年~元久元年(第1巻) ・その3 元久2年~建永元年(第1巻) ・その4 承元元年~承元2年(第2巻) ・その5 建暦元年~建暦2年(第2巻) ・その6 ...
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【溢れ出る昭和感】新宿の老舗食堂・長野屋で定食を食べる。
さて昨年末に上京していた折、久々に行ってみたのでサクッとレポートです。都内住のころ新宿界隈で用事があるとき、食事時なり小腹が空いたときなどにちょいちょい食べにきていたお店。 あのころangle 街と地図の大特集1979新宿・池袋・吉祥寺・中央線沿線編 Kindle版 風景は記憶の順にできていく 新宿駅東南口を出てすぐ。様々な飲食店がひしめく新宿の街のなかでひときわ異彩を放っているのがここ「長野屋」。 この建物に見覚えのある方も多いはず。 こちらの長野屋さんはその外観からもわ ...
【23区唯一の渓谷】等々力からめぐる東京古墳散歩♪
Amazon 私のオアシス 等々力渓谷 ※今年(2023年)03月にした散歩です。 例のウイルスも収まりをみせ、所用をかねて上京した折、長い付き合いの知人家族から「朝食でも食べにおいでよ~」とお誘いを受けたので、散歩がてら東京・世田谷区から大田区にかけての多摩川沿いを歩きました。 件の知人宅は東急東横線の多摩川駅が最寄りなのですが、今回は大井町線等々力駅からの出発。 早朝だから人通りもまばら。そういえばこの駅前も再開発云々でいろいろ変わってたな。 ...
【とはずがたり】「『明月記』の後鳥羽院」よもやま話
調査・研究に用いているノート。 「藤原定家『明月記』にみる後鳥羽院の姿」調査中の机の上w 目次 ・きっかけ ・隠岐、集中豪雨 ・愛憎半ば、悲喜交々 その1 ・愛憎半ば、悲喜交々 その2 ・ママ、クルマにはねられる ・『吉記』のこと ・青天の霹靂 ・ママ、怒る! ・老いたる定家と後鳥羽院 ・拝啓、藤原定家さま Amazon 夢のなかぞら―父 藤原定家と後鳥羽院 ・きっかけ 「まあ、またなんとも面白そうなことを……」 2021年春、私は ...
【妖怪博士の遺産】中野区立哲学堂公園を歩く!
Amazon 史上最強の哲学入門 Kindle版 2023年3月、3年前から世界を席巻した某ウイルスの流行も収まりをみせ、久々に(本格的な)上京しました。そのときブラっと『中野区立哲学堂公園』に立ち寄ったので、その時のレポートです。ひさびさの散歩記事。 さて、哲学堂公園への行き方は複数ありますが、今回は都営大江戸線落合南長崎駅から(その他のルートは記事末に記載します)。 A1出口から都道440号線・新青梅街道を西に向かって歩く。 途中、なんのご縁かこんな ...
湖に沈む「幻の橋」タウシュベツ川橋梁を行く!
※本記事の内容は2024年08月時点のものです。 北海道上士幌町。 大雪山東南麓に位置するこの街には、「幻の橋」と呼ばれる橋がある。正式名称・タウシュベツ川橋梁は、知る人ぞ知る北海道屈指の秘境だ(「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」として北海道遺産や近代化産業遺産に認定されている。なお)。 これは2024年08月にタウシュベツ川橋梁を訪れた時のレポートです(なお見学方法はこちらから)。 300ピース ジグソーパズル KAGAYA 幻の銀河橋(北海道)-天の川とタウシュベツ川橋梁- ...
【文豪ご用達w】老舗旅館『鳳明館』に泊まってきたときの話し【文京区本郷】
※2019年年末に宿泊しました。 Amazon 「谷根千」地図で時間旅行 コロナウイルスの問題で自粛の風吹き荒れる昨今ですが、今年三月、東京文京区にある老舗旅館・鳳明館からこのようなプランが発表されてのをご記憶されているでしょうか? ●「先生、進んでますか?」進捗コールも完備。旅館「鳳明館」にて、大正・昭和の人気作家になった気分を味わえる「文豪缶詰プラン」 (かーずSP 2020年3月9日) 現在はテレワークにも対応したデイユースプラン「3密・心配ご無用 ...
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